量子フーリエ変換はなぜ必要なのか意味を理解しよう

量子コンピュータを勉強していると初めの方に必ず量子フーリエ変換というものが出てきますが全く理解できません。

というお悩みにお答えします!
量子フーリエ変換について調べたり本を読んでも、ほとんどが計算の導出がメインで、何のための計算なのかなかなか理解しづらくはないでしょうか。

この記事では一旦たくさんの数式を使った計算の導出は後回しにして、量子フーリエ変換とはどういうもので、何の目的で利用されるかについて紹介します。

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量子フーリエ変換とは

量子フーリエ変換とは量子コンピュータ上で離散フーリエ変換を行うサブルーチンです。
そもそもフーリエ変換とは、ある現象を別の視点で表現するための変換のことです。

フーリエ変換の例

フーリエ変換のイメージ

フーリエ変換を説明する際に、よく波が例に挙げられます。
波は時間に対する波形(振幅)で表現されるのが一般的です。これを時間領域の関数と呼びます。

時間領域の関数はフーリエ変換によって周波数領域の関数に変換されます。つまり、波がどの周波数の基本波がどれくらいの割合で構成されているかという視点で表現されます。

つまり波という現象を時間の視点で表現していたものが、フーリエ変換によって周波数の視点で表現されるようになったといえます。

量子フーリエ変換は何を変換しているのか

量子フーリエ変換も同様に、情報を量子状態と位相という視点での表現へ変換を行っています。

これは数式を見ると明らかです。量子フーリエ変換は以下の数式で表現されます。

ここで$j_i$とは$j$を2進数表記したときの$i$桁目です。例えば$j=5$であれば2進数表記で$j=j_1j_2j_3=101$です。

量子フーリエ変換によって量子状態$|j\rangle$を構成する各量子ビットの情報が、数式の赤い部分で表したように位相に反映されていることが確認できます。

量子フーリエ変換は何のために使われるのか

量子フーリエ変換がとっつきにくいのは、利用される目的や利用先がわからないからという理由が大きいと思います。最後に量子フーリエ変換がどこで何のために利用されているかを紹介します。

量子フーリエ変換は単体で使用されるというよりは、様々なサブルーチンやアルゴリズムの一工程として利用されています。実際は量子フーリエ逆変換として利用される場合が多いです。

上の画像は量子フーリエ変換の利用先として最も有名な量子位相推定の構成です。赤枠に量子フーリエ逆変換が利用されています。これは位相情報を量子状態に書き込むために利用されています。

量子アルゴリズムやサブルーチンの多くは位相情報をうまく利用して、量子状態に対して操作を行っています。そのため量子状態と位相間で情報を変換する量子フーリエ変換は重要な役割を果たしています。

まとめ

この記事では量子フーリエ変換の意味と利用目的について紹介しました。

量子フーリエ変換の導出方法や数式を使った詳細な解説はこちらの参考書に丁寧に書かれています。もう少し深く勉強したい方にはぜひおすすめの一冊です。

またこの他にも量子コンピュータについて勉強したい方のために、私がこれまで見てきた参考書のレビューをこちらに書いています。
量子コンピュータについて勉強したいけど自分に合ったものがわからないと悩んでいる方は一度ご覧ください。

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